アナログ・ドライ・スルーって何?

 新ブログでは、アーティストAbeReiとしての内容と、音楽教室の内容を統一し、もっぱら音楽にまつわる「なるほどな」知識について語って行きたいと思います。

 音楽や機材について、基礎的なことを解説してくれてるサイトはたくさんあるので、ここでは、一般的にあまり触れられていないこと…多少専門的になってしまうこともありますが、極力分かりやすく解説してみたいと思います。

 第1回目はアナログ・ドライ・スルーって何?いきなり専門的ですが(笑)、ギターのエフェクターの話です。とはいえ、アナログとデジタルって何が違うの?という話もします。

単体のコンパクトエフェクターに比べて、マルチエフェクターはつないだだけで音が変わってしまう」という経験をしたことがある人は少なくないと思います。ざっくり言えば、A/Dコンバーター(アナログからデジタルへ変換する回路)の仕業でしょう。

 ご存知のように、デジタルは音や画像の分野で様々な処理を可能にし、大変便利ですが、「元の音に忠実か?」という点だけに絞ると、特に楽器の音は中々厳しいものがあると思っています。人によって様々な感じ方はあると思いますが、A/D変換をしたギターの音は「中低音の暖かな膨らみが失われる」「高音が耳触りで、長時間聴くと聴き疲れする」と、私はどうしても感じてしまいます。

デジタル 波線

 よく、「レコード(アナログ)に比べて、CD(デジタル)の音は硬い」と言われますが、それは、ある意味当然とも言えます。レコードは、このような溝(波形)を針でなぞっているわけですが、それは一本の線でもあります。一方デジタルは、これを無数の点で表わし、それを更に数字に置き換えて記録している。点の集まりが、離れて見ると線に見えるように、音も、本当は切り刻まれてるのに、繋がってるように聴こえてるだけ。技術の進歩により、限りなく点は細かくなったけれども、どこまで行ってもそれはやはり繋がっていない…腕の見せ所は、どれだけ滑らかにできるか?という作業になる。

 実は、私自身も昔はあまり気にしていなくて、様々なデジタルエフェクターを積極的に使っていた時期があります。ところが、ある時どうしてもギターの音の「硬さ」が気になり始めて、「それは知らないうちになされてるA/D変換のせいじゃないのか?」と思うようになり、手持ちのエフェクターを何度もつなぎ変えて実験してみました。じっくり比べてみると、明らかな違いがあることに気づきました。

 それが確信に変わったのは、StrymonのTimeLineというエフェクターの説明文を読んだ時です。

>>アナログ信号は、オリジナルサウンドを一切劣化させないアナログ回路を採用し、アナログ信号はアナログのままミックスされます。
>>アナログ・ドライ信号、”0”レイテンシー・ドライ信号(原音はADされません)

 なるほど…言葉で読むと何だか分らないかもしれませんが、図で書くと、こういうことです。

A:D コンバーター

 上の図では、ギターの元の音(ドライ音)までが、A/D変換(赤い線)そしてD/A(デジタルをアナログへ)変換されてしまっています。この辺りは、ほとんどのメーカーがハッキリ明示していませんが、単体のコンパクトエフェクターでも、デジタルのリバーブやディレイはこの可能性が非常に高いようです。

 下の図では、あくまで元の音はアナログのまま。Strymonの他はTC Electronicが、この点を強くセールスポイントにしています。アナログ回路で高いクオリティを保つ方が、きっとコストがかかるのでしょうね。

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 これは前回のブログの写真ですが、手前のがStrymonのTimeLine、赤いのがTC ElectronicのHall of fameです。

 デジタルにはデジタルの良さが、アナログにはアナログの良さが…もちろんどちらにもデメリットはありますが、双方の利点を生かし、共存していこうという姿勢の製品は、やはり出音も美しい。